Craig’sからクレイグ・ケリーへ: バルドフェイスロッジでベールを脱いだ2019シーズンモデルのFamily Tree
Burtonの歴史において、これまで数え切れないほどのライダーたちがボードデザインの発展に貢献してくれました。しかし、ある1人のライダーが与えた影響は、それらをはるかに凌ぐものだったのです。
スノーボードにとって、クレイグ・ケリーはアイコンやワールドチャンピオン以上の存在でした。1990年代初頭、彼はBurtonプロダクトの進化における原動力だったのです。だからこそ、2011年に本社敷地内に研究開発施設を建てたとき、私たちはCraig’sプロトタイプ工場と名づけたのです。
Family Treeは、フリーライディングの新たなシェイプを追求するクイーバーです。新しいシェイプやテクノロジーを試すだけではなく、サステナブルな取組みもFamily Treeから始まることが多々あります。デザイナーがクールなアイデアを思いついたとき、誰かに「こんなボードがあったらなぁ」なんて言われたとき、そんなときこそFamily Treeの出番です。Family Treeはクレイグの遺志を受け継ぐコレクションであり、Craig’sプロトタイプ工場が存在する理由でもあるのです。
ウーメンズ用のクレイジーかつ見たこともないようなシェイプ? おまかせください。キッズのためのフリーライディングボード? あるに決まっています。もちろんBurton史上最軽量を誇る、悪名高いFishの超スペシャルバージョンだってあります。その辺の具体的な話はのちほど……。
生前のクレイグは、ブリティッシュコロンビアに位置する、かの有名なバルドフェイスロッジの非公式アンバサダー的なことをしていました。バルドフェイスロッジには、今なお語り継がれるクレイグにまつわるストーリーがたくさんあります。そして、彼が他界したあとには十字架が立てられました。バルドフェイスロッジは、クレイグの魂を思い出させてくれる場所であり、仲間たちと思いのままフリーライディングを楽しめる場所でもあるのです。
昨シーズンのある日、ダニー・デービスが気の合う仲間たちを集めてパウダーツアーをやると聞きつけ、2019シーズンモデルのFamily Treeをお披露目する良い機会だと思い、すぐに撮影クルーと共に現地入りしたのです。
Family Treeのボードをデザインするのに、ルールなんてものはないのさ。毎年毎年がオリジナルだよ。まずはチームライダーやテスター、ユーザーの話を聞くところから始まるんだ。オプションは無限だね。スノーボードや俺たちのカルチャーにとって、Family Treeが未来への鍵になってくれることを望んでいるよ
ファミリーをご紹介
ここで、2019シーズンモデルのFamily Treeコレクションをご紹介。各ボードについて、前述のスコット・シーワードとシニアプロダクトマネージャーのレズリー・ベッツがコメントしてくれています。
Women’s Family Tree Stick Shift
ある日レズリーが、「短くてサーフライクなウーメンズフリーライドボードを作ってよ」って言ってきたんだ。そんな彼女の要望に応えたのが、有効エッジとランニングレングスが短いFamily Tree Stick Shift。ワイドなウエストにも関わらず(10cm〜15cm長いメンズボードと同じくらい)、小刻みな動きができるボードなんだ。つまり、短いボード特有のタイトなターンを可能にしながら、長いボード特有の浮力も持ち合わせているってこと。ツリーランで使ってもらいたいけど、グルーマーでの安定感も抜群だよ。
– スコット・シーワード
Family Tree Bottom Feeder
アレックス・アンドリュースが、定期的にメールやDMを送ってくるのよ。「もっとワイドなボードが欲しい!」って。だから、ラインナップで最もワイドなボードをベースに、さらにワイドなボードを作ったわけ。短くても、雪に接する面は大きいってことよ。
– レズリー・ベッツ
多分、今まで作ったボードのなかで一番ワイドなんじゃないかな。ワイドでサーフライクなショートボードは、永遠のテーマみたいなものなんだ。ディープな日に、ツリーのなかに入ってみてよ。信じられない滑り心地さ。浮力が群を抜いているからね。同時に、ツリーの間をスムーズに滑れるだけの細やかな動きにも対応するんだ。
– スコット・シーワード
Kids’ Family Tree Role Model
Family Treeって呼ばれているくらいだから、家族みんなのためのボードがあるべきだと思わない? 最近のキッズは、これまでにないくらいハイパフォーマンスなボードを求めているのよ。そんな傾向もあって、ずっとキッズ用のオールマウンテンフリーライドボードを作りたかったのよね。ベースにしたのはFlight Attendant。今や攻めるキッズはどこにでもいるの。だからこそ、パパやママと一緒に滑れるフリーライドボードが必要不可欠だったわけ。
Burtonには、歩けるようになった直後から乗れるボードもあるわ。Riglet BoardからFeelgood SmallsやCustom Smallsとかね。Family Tree Role Modelは、大人用顔負けのディレクショナルキャンバーで、山全体でパワーを発揮できるの。キッズの成長に合わせて、いつでも適切なボードを提供できることはハッピーよね。
– レズリー・ベッツ
Women’s Family Tree Story Board
マウントベーカーでやっているレジェンダリーバンクドスラロームに出場したとき、私のカテゴリーには12人の女性が出場していたの。その全員がメンズのFlight Attendantに乗っていたのよ! あれぐらいの硬さのボードが必要だからなんだけど、ターンを見ていると、やっぱり女性にはワイド過ぎだったのよね。
彼女たち1人1人に話を聞くと、「もっといろんなボードが必要なの」って口を揃えて言っていたわ。よりアグレッシブで、よりオールマウンテンで、フリーライディングやパウダーも得意なボードを作る必要性を感じたわけ。もちろん、ユニークでファンなシェイプでね。
– レズリー・ベッツ
Family Tree Stun Gun
コンディションによって異なる表情を見せるボードなんだ。ハードパックやグルーマーでは雪面を切り裂くようなカービングをもたらし、ディープパウダーへドロップすればラインナップ随一の浮力を発揮するのさ。秘密は大きなノーズ。いつだってパウダーから顔を見せてくれるんだよね。
これまでも、有効エッジをカットしたボードに対しては、たくさんの有益なフィードバックがあったんだ。つまり、グルーマーでは機敏な動きをするけど、ディープスノーでの浮力には改善の余地があったってこと。それらを踏まえて作ったのが、グルーマーで威力を発揮するランニングレングスとサイドカットを備え、ディープパウダーでは優れた浮力を発揮するシェイプを持つFamily Tree Stun Gunなんだ。
– スコット・シーワード
Family Tree Mystery Fish
Burton史上最もハイパフォーマンスなディープパウダー用ボード。そう、Fishのことさ。であれば、Burton史上最も軽量な構造を採用しない手はないでしょ。これは、Craig’sプロトタイプ工場が生み出した最上級Fishなんだ。
超軽量だから、体への負担も軽減できる。ターンの切り返しもスムーズだから、何より滑っていて楽しいんだ。とにかく浮遊感を楽しんでもらいたいね。ネクストレベルの軽量化のおかげで、足への負担も感じないはずだよ。
– スコット・シーワード
Family Tree Flight Attendant X Split
ディープパウダーを求めてより遠くへ足を延ばせるよう、軽いスプリットボードを待ち望んでいたバックカントリーライダーは少なくないはず。そんな要望に応えるボードが、Family Tree Flight Attendant X Splitなのさ。Burtonで最も多様性に富んだフリーライディングボード、Flight Attendantをベースに、Mystery構造の開発で得た経験を注ぎ込んだんだ。結果として、かなり軽量で機動力にも優れたボードができ上がったのさ。シェイプに関しては、今さら言うまでもないよね。
– スコット・シーワード
Women’s Family Tree Anti-Social Split
「そこまでメンズのスプリットボード開発に労力を費やすのなら、もちろんウーメンズ用も作るってことでしょ?」なんて実際に言ったかどうかは憶えていないけど、ウーメンズスプリットボード誕生までは、さほど時間がかからなかったわ。初めてのリリースから数年が経った今シーズンは、女性に嬉しいアップデートがあるのよ。女性にとってちょうど良いパフォーマンスを引き出すため、ファイバーグラスに女性専用トライアックス™を採用したの。女性の体や体型、男性に比べて小さい足などを考慮して、女性にとって最適なライドフィールを提供できるようになったのよ。
– レズリー・ベッツ
Family Tree Anti-Social Splitの開発には、Day Traderでの経験が役立っているんだ。そう、Family Tree初のウーメンズボードで、キミー・ファサニと一緒に作ったボードだね。乗り心地は良いし、女性が自信を持てるようなバックカントリーシェイプになっているよ。
– スコット・シーワード
Family Tree Trick Pilot
マーク・ソラーズやマイキー・レンツが乗っているボードね。いつもバックカントリーのビッグジャンプを飛んでる2人だけど、クルクル回るからツインボードが必要なんだって。彼らはディレクショナル派じゃないのよ。でもパウダーでの浮力も欲しいから、キャンバーとフラットをミックスしたピュアポップキャンバーがちょうど良いみたい。パウダーボードだろうと、Family Treeだろうと、全てがディレクショナルシェイプである必要なんてないの。もちろん、全部が全部スワローテールである必要もない。リゾートみたいに遊びながらバックカントリーを滑りたいって言うんだったら、やっぱりツインがオススメよ。
– レズリー・ベッツ
このボードのノーズは、浮力を高めるためだけにこんな形をしているんじゃないんだ。ディープパウダーでの着地にも役立っているんだよ。20mも飛んでパウダーに着地するからね。着地を決めるために、サポート力のあるノーズとテールが必要なのさ。
– スコット・シーワード
Family Tree Speed Data(and Speed Date Wide*)
このボードのコンセプトは、史上最高のバンクドスラローム用ボード。そこで声をかけたのは、Burtonチームで最も優れたバンクドスラロームライダー……、いや世界最高のバンクドスラロームライダー、テリエ・ハーコンセンなんだ。シェイプやサイドカット、ウエスト幅、テイパーなどは、テリエが求めているものを形にしたのさ。
ボードの構造に関しては、今までなかったものを採用したよ。トーショナルフレックス(ノーズ〜テールのフレックスではなくて、横方向のフレックス)を変えて、両足の外側にあるコンタクトポイント付近がとても硬くなっているんだ。一方で、バインディングの間は柔らかい。そうすることで、足下の操作性が劇的に高まるんだよね。つまり、ターンのカーブをコントロールしやすくなると同時に、必要なエリアが硬くなっているおかげでラインがズレないのさ。
バンクドスラロームのコースを滑らない人だって、超アグレッシブなボードを求めている人にはオススメだよ。でも、2日酔いのときやのんびり滑りたいときにはオススメできないかも。乗るならちゃんと集中しないとダメ。コーナリングに入れば、もう抜け出せないからね。
– スコット・シーワード
*Family Tree Speed Date Wideは、2019年1月発売予定です。
今回紹介したボードは全て、FSC™認証コアを使用しています(FSC-C124994)。FSC™の認証を受けた樹木は違法伐採されたものではなく、また、保護価値の高い森林や植林用の森林、遺伝子組み換え樹木が植えられている森林などで伐採されたものではないのです。また、バイオ原料を元にしたスーパーサップ®樹脂を使っているので、1本のボードを作ることで排出されるCO2の削減につながっています。